CM-この大きな木は切られると覚悟していました
Sハウスの最近の分譲マンションのCM。
「マンションが出来る時、この大きな木は切られると覚悟していました」
その木が残って、環境に配慮した建築会社であることをアピールしている。
そのCMのイメージは、
数年間マンションの計画に携わったことがある人間の実感とはほど遠い。
民間のマンションの計画の原点は、
販売できる床面積を容積率などの法規制の中で最大にすること。
その原則の中では、既存樹木への配慮などかけらもない。
都市や都市近郊の自治体では「中高層建築物指導要綱」などにより、
緑化の基準を定めている。その条例の中には、
既存の大きな樹木を残すことを誘導する為の細かいポイントをつけるなどの手法もある。
斜線規制や日影規制などの高さの規制をかいくぐりながら最大限のボリウムをとる手法は
少し複雑な方程式のようなもので誰が考えても、そんなに色々な解は出てこない。
もしCMのようなマンション計画が実現していたとすれば
その解に支障のない位置に、偶然大きな木があった、
そして、その木を残すことは、自治体の指導に良くかなっていた、
その二つが要因だったはず。
マンションディベロッパーが、そんなことを最初から配慮するわけがない、
というより、厳しい経済活動の中で配慮できるわけがない。
都市化・高層化の波の中で、実際に緑化環境に取り組んでいる一番の功労者は
自治体(法規制)だと思う。
(設計していた当時は、打ち合わせに日参し、うとましく思っていましたが)
決して、マンションディベロッパーではない。逆に、
ここ数十年間、都市近郊の大きな山の緑をいくつも住宅地として蝕んでいったのは
当のその大きなハウスメーカーだったはず。
そんなことが頭によぎり、このCMには、違和感を通り越して憤りを覚えてしまう。
関連項目
(MYブログ08/01/11) この大きな木は切られると覚悟していました
(MYブログ07/08/31) ラサール石井さんの住宅CM
(MYブログ07/05/29) 耕して天に至る?
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(MYブログ06/08/17) 屋根は軽い方がいい??
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