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2006年3月31日

国立マンション考察 (14.12.23) (H18.3.31)

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最高裁で被告無罪の判決 (H18.3.31)

「国立マンション裁判」とは、東京都国立市の学園通りというきれいな並木道沿いに、
14階建のマンションが建てられ、出来た建物に対して、「7階以上の部分を撤去するように」
という地裁の判決が出た裁判です。
しかし、二審、上告審と、被告人(マンションデベロッパーの明和地所)無罪、
原告(地域住民等)の敗訴が確定しました。
判決の詳細は新聞記事ではわかりませんが、結論的には妥当な結果に落ち着いた、
という感想です。
以下は、地裁で、マンションデベロッパーが有罪となり、建物の一部撤去が求められた時点での
私のリポートです。

A、事件的な側面

1.無理やりの地区計画

元の地主は東京海上。土地売却の際、
近隣の事例からあまり高い建物(容積率が消化できる建物)の建設は困難、
と考えた大手デベロッパーが多い中、
明和地所だけは、建築基準法で定められた容積率200%を建設することを元に、
土地購入価格を提示し、購入したのだろう。
市は、東京海上という名門企業が近隣の合意形成も出来ないような計画に
ある意味荷担するようなことはしないと思っていたら、
明和地所の計画がどんどん進んでゆく。
あわてて、地区計画という法律の網をかけようとしたが、遅かった。
今回の地区計画の範囲は、原告である桐朋学園の敷地と明和地所の敷地でほとんどが
占められている。下記URL参照。
http://www.linkclub.or.jp/~erisa-25/kosakuin/warehouse/kunitati/map02.htm
これは、明らかに明和地所を狙い撃ちにした地区計画としか考えられない。
大学通りの景観を担保するのであれば、通りを中心線として巾何十mの範囲
(又はその範囲に含まれる一団の土地)という規制の仕方でなければいけない。
ただ
1999.07.22 土地取得
1999. 08.18 事前協議提出(正式な建物の提示と紛争の発端)
1999. 12.03 確認提出
2000. 01.05 建築確認済み

の、タイムスケジュールは、明らかに、強行突破を最初から意識した、明和地所の作戦が、
その時点では成功を収めたといえるでしょう。
延べ面積34000㎡もの建物を、正月休を除いた実質18日程度で確認手続きを済ませた、
デベロッパーの設計部の手腕には、驚きを禁じえません。
また同じ通り沿いに、20mをこえる建物が既に建っている(下記URL写真による)
http://www.linkclub.or.jp/~erisa-25/kosakuin/warehouse/kunitati/02.htmこと自体が、
そのような基本方針の根拠にもなったと想像します。

具体的な計画についてですが、容積率200%とった割には、
http://hp1.cyberstation.ne.jp/ud_works/case_1.htmlの写真の通り、
通りから建物までの離隔もあり、植栽もなされ、
それなりに、がんばって設計されているようにも見受けられます。

2.市民が70年間も営々と景観を守っていた??

並木等の道路環境を維持管理してきたのは事実かも知れませんが、
「周辺の建物がそのような配慮の下に70年間作られてきた」というのでは事実に反すると思う。
昭和43年に完成した「霞が関ビル」は、日本初の超高層ビルである。
それまでは、関東大震災後に作られた建築の基準法により、ビルの高さは31mに制限されていた。
多分それ以前は、国立市に高層ビルを建てる、経済的合理性がなかっただけのこと。
かつ、少なくとも31mを超える建物は、それ以前、日本にはなかった。

またその後、平成元年までは、高度地区の規定があった。
下記 http://www.linkclub.or.jp/~erisa-25/DB-tokubetuyoto.html より抜粋

「多摩部の最高限高度地区は、秋多都市計画における昭和44年5月の指定が最初である。
秋多都市計画における高度地区は新建築基準法による地域制への移行を図るための
準備的なものであった。
しかし、この頃から、多摩郡でも、武蔵野市、国立市等で日照問題が起きてきた。
このため、昭和45年12月、多摩部の延べ空地地区である第1種空地地区及び第2種空地地区を
第7種空地地区、第3種空地地区を第8種空地地区と建て空地地区に全面的に切り替えた際に、
その区域の全域にわたり高度地区を指定することとした。」

その後、
平成元年に高度地区が撤廃され、高層の建物がぽつぽつ建築されるまでの時代は、
市民が景観を守ったのではなく、
法律や経済的合理性から自然と守られた状態が続いたと、考えるほうが正しい。
現実に高層の建物が現れだしてから、景観に対する意識が高まった、というところだと思う。
高度地区撤廃の経緯についてはhttp://www2k.biglobe.ne.jp/~kensoken/ken11202.html
の中、「国立市都市計画決定見直しの経緯」にある。

景観を担保していた高度地区の規定を外したのも、当の国立市。
多分、日本国中がバブルの波。
当時、土地価格の上昇と土地利用の高度化という錦の御旗を振って、
それに取り残されるまいと規制は外されたのだろう。
当初は土地の権利者達なかで喜んだ人も多いはず。
そして今、沿線をまだ、再度高度地区に指定できないということは、
地価のいっそうの値下がりを懸念し、反対する土地の権利者もまた多いのではないか。
ということは、まだまだ同じような建築計画がありうる。
何せ、地区計画は、桐朋学園の敷地と明和地所の敷地のみなのだから。
被告・原告双方が、時代による考え方のブレの被害者のような気がする。

3.景観利益!!(それは、いくら)

・少なくとも、確認が下り、建築関係の行政機関が適法だと認めた建物であるはず。
・写真で見る限り55戸前後の住宅の撤去となる。マンション販売パンフレットによると、
 分譲の最低価格が5000万、賃貸物件で狭いとしても分譲物件に換算して3500万は下らない。
 とすると、販売価格で20億円、それに解体費+工事中の保障、
 景観利益を創出するための、価値はそれと同じ以上の価値なのだろうか。
・企業として、行政庁の指導基準に従い、みすみす得られる収入益を放棄することは、
 企業間の競争の敗因の一つにもなるとも考えられる。

以上の3点を総合して、この件に関する限り、
私は、裁判官が「景観利益」という理屈をつけて、原告の訴えを認めた、非常に偏った判決だと
思っている。
但し、明和のマンションがその通りの固有の景観を台無しにしていることは、事実。

巨大→目立つ→景観破壊となっている。

そして景観を維持するためには、小手先のデザイン(色や形態操作)だけではどうしようもない、
ボリウムの問題がある。
それは、マンション事業の収支に最も影響のある部分です。
利益を上げるために、最大の販売床面積を確保することは、商売としては当然の方向です。
マンション建設という経済活動の中で、設計も、発注者の意向に従う最大容積を確保しつつ、
いかに居住環境を高め、商品価値を高くするかに努力が傾注されるのです。
それを、規制するのは景観条例などの、努力義務や指導基準ではなく、
明確な法律規定(高度地区等)だと思います。

最大の原因は、平成元年の高度地区の撤廃。
そして景観を重視するならば、高度地区の再規制。
それこそが、問われるべき問題と今後の課題だと思います。
一般的には、新設道路敷きの土地所有者の移転のために、それなりの保障を行政はしています。
景観を最重視してこのマンションの一部を撤去するならば、
市(及び原告等)の経済的援助が何がしかの形で必要だと思います、
無理やり工事を行った分を差し引いても。
そしてその金額のオーダーは数億から十数億なのでしょう。

B、普遍的な側面

1.都と市の食い違い(東京都が建築許可を出したわけではない)

東京都(東京都多摩西部建築指導事務所長)は、建築確認を受理しただけ。
建物を建てること自体は、土地を所有する者の権利として認められたもので、
誰かに許可を得ないと建てられないというものではありません。
建築確認とは、計画建物が建築基準法関係の法律に違反せず、適法なものであるということを、
行政庁が、「確認」することです。
一般的にはそれ(建築確認)をもって、工事着手することとなります。
そうでなければ、違反建築が建てられるかもしれず、行政庁が工事差し止めなどの手段で
対抗することも可能になるからです。
ただ、建築基準法関係の「関係」が問題なのです。
昭和50年代は、宅地の乱開発を規制するため、各市町村で「開発指導要綱」などと呼ばれるものを
作成し、その要綱に基づかなければ、確認を受け付けない、
つまり、その建物に関わる全ての法律・条例そして要綱等を満足した後、建築確認を受付け、
審査するという体制でしたその状態の中で、二つの大きな問題が出てきました。
「開発分担金」と「近隣の同意」です。
「開発指導要綱」のほとんどには、これが備わっていました。
これらは、双方とも、法の下の平等に抵触しかねません。
近隣の同意がなければ、建物が建たないのなら、
先に住んでしまえば、後から来たものに無理難題でも吹っかけることができる、
明らかな既得権の過保護になります。
そのため、開発業者側からの裁判等により、徐々に削除され、
現在では、その二つともほぼなくなりました。
開発分担金についてはほとんどなくなりました。
水道や下水道事業の整備負担金等、明確な使途を設けたものはあります。
近隣の同意は、近隣への適切な説明責任という形に衣替えしました。
そのような経緯の中、建築確認も、建築基準法関係に限定して審査すべきものだ、
という本来の条文解釈が定着してきています。
この国立市の場合も、市役所が反対しているのに、都が確認を下したのは、このような現在の
法令運用状況の現れだと思います。
だから、この場合も、建築関係法規以外の他の法律違反による違法建築(市条例違反など)
ということもありえないことではありません。

2.容積率 200%

国立マンションを例にすると、
容積率200%というのがいかに大きい数字かということを行政関係者感じてもらいたいと思います。
現在、住居専用系以外の区域の容積率の最低が200%。
巨大な敷地に高々奥行き15m迄のマンションのような建築物を作るということは、
あのような結果となるのです。
今、近くの都市の商業地域400%に矮小敷地一杯にマンションが建築されていっています。
高層の部分でも建ち並んだら、隣近所の窓が手にとるような位置になりそうです。
住居地域の方にマンションはできずに。
不動産企業経営の必然でしょうが、とても矛盾を感じる光景です。
それは、適切な都市の住環境を誘導している地域地区計画とは、とてもいえません。

3.景観教育(何が美しく、何が醜いのか)

国立マンションのような、ボリウムによる景観の不調和、
イロイロな看板による色彩の景観の不調和、
などは日本の都市のそこここに見受けられます。それら、全てが人々の営みの結果です。
それらが行われる原因の一つに、
一般教養としての、デザインや色彩教育が、必要なのではないかと思います。
現在の美術の教育は、芸術家になる者はほんの一握りなのに、
それに必要な創造性や独創性に偏重されているような気がしてなりません。
色の合わせ方、鮮やかな赤や青を引き立たせる方法、古い町並みはなぜきれいに見えるか。
簡単な一定のルールは、学習すれば覚えることができ、実際に服を買うとき、家を建てるときに、
簡単に役立ちます。
工芸に近いデザインの普遍的な部分を、もっと教育すべきではないかと思います。
それらの上質な美意識が、何世代重ねられることによって、
良い人工景観が造られていくのではないかと思っています。

( 国立マンション考察 終 )

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