「建前」が通じない
所員がその友人との会話で「建前」が通じなかったと言いました。
建前(たてまえ)とは、建て方のことです。
この辺の方言なのだろうか?と思って大辞林を調べてみると、ちゃんとありました。
家屋の建築で、主要な柱や梁、棟木などを組み上げること。
また、その時に行う祝い。上棟式(じょうとうしき)。棟上(むねあげ)。
その通り、方言ではありませんでした。そういうと、ニュアンス的に
「建て方」っていうと、工事工程上の一つの通過点という仕事っていう感じだし、
「建前」っていうと、上棟や棟上と同様お祝いというニュアンスが付加された感じがします。
こういう言葉が使われなくなるのは、
住宅などの建築生産がシステマチックになっているからかなー、という感があります。
子供の頃の父の建前の現場。
その時が施主さんへの初めてのお披露め、親戚の方々もたくさん手伝いに来ておられる。
大工さんには「今日は、一回も鑿(のみ)や鋸(のこぎり)は使こぅたらあかんで」
(組み上げるように加工された木材に間違いがあってはならない)
緊迫したそして晴れやかな感じは今はすっかり失われてしまいました。
こんな言葉が大工さんの符牒であります。
オノノコマチ - 回答は、ほんだ建築ホームページ 今様「建築 & 職人」言葉辞典へ
さて先ほどの大辞林、
裏に金文字で「竣工祝・平成元年1月・大溝工業株式会社」と印字されていました。
事務所を設計した時、竣工のお祝いに頂いた品でした。
久しぶりに、もう亡くなられた会長さん、当時の社長・現在の会長さんの顔や、
当時の設計や工事のことを思い出しました。
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