琵琶湖博物館-日建設計(1999頃 訪れて)
日建設計の建物は好きです。
基本理念から導き出された、わりあい万人に納得されそうな、それでいてストレートな表現、
なおかつ、それを破綻なくまとめる計画力とディティールが備わっているからだと思います。
この建物では、船底の形。ストレートで気持ちがいい。
こういうことをすると、キッチュな感じになってしまいがちですが
ここでは、ディティールが良いせいか、バランスがいいのかはわかりませんが
「ストレートで気持ちがいい。」という感じで見れてしまいます。
ここで身内の自慢話
琵琶湖研究所が、現代漁村のフィールドワークをされた当時、
父は地元集落の区長をしていまた。
学芸員の聞き取り調査の折、
「琵琶湖の水が生活排水で汚れるのは、当然の帰依や。
上水道を引いた時に、下水も一緒にせんかったからや。
入り口が、栓ひねるだけで、便利でいくらでもに使かえるようになってしもたら
今迄、吸い込み(排水を地中へ浸透させる装置)でいけてたもんが、
いけんようになって、側溝や川に流し始めてしまう。
便利になったら使こうてしまうもんや。
口に入る事考えるときに、尻の始末も考えとくのが物の道理や。
何で、ちゅう程のことでもあらへんやろ。」
地元では田舎での下水道など考えも及ばない昭和50年頃の話です。
学芸員の方は、この後何度かの再訪の折、
いつもこの話が、「目からうろこ」の話でした、と話されてました。
琵琶湖博物館は、そのような膨大な、そして地道で長い時間をかけた、
環境と人間との係わりについての、フィールドワークの集大成であると感じました。
よく地方公共団体の建物が、ハコが立派でも、中身が伴なわないなんて評価がなされますが、
この博物館の展示内容はすばらしく、滋賀県民として誇りに感じます。
20~40年前の生活史の展示は、特に大好きです。
もう一度訪れたいと感じた、数少ない公共施設の一つです。