ヒノキ新薬びわこ湖北寮-白井晟一
ヒノキ新薬びわこ湖北寮は、
今のところ私の家に最も近い場所にある巨匠といわれる建築家の作品です。
建築家の名前は、白井晟一(シライセイイチ)、1983年(昭和58年)既に鬼籍に入られ、
84年に完成したこの建物は、その工事中までしか見届けられなかった建物だそうです。
今日は、JR西日本のジパング倶楽部という旅行企画の地元ガイドとして、
海津大崎花見クルーズ客船に同乗しました。
桜は昨日の風雨で、かなり散ってしまっていましたが、
かろうじてまだ花見の風情を残している、という状況でした。
マキノまちづくりネットワークセンターという会に参加していて、
地元の者として訪れるお客様をガイドする事により、町の活性化に寄与しよう
という、会の一つの事業に乗った、私としては初体験のことでした。
私自身、観光船で花見するのは初めてのことで、それなりに楽しい体験となりました。
海津大崎の岬沿いに廻り込む航路で、目に入ったのがその巨匠の建物です。
午前中の便では、雨上がりの
午後からの便では晴天の下での、その建物の写真を撮ることが出来ました。
会社の保養所ですので、中に立ち入ることは出来ませんが、
急勾配の斜面にたった雰囲気のある外観だけでも、いい感じを醸し出しています。
確か買った記憶があると思い出して、帰って来てから本棚を探したら、
建築専門雑誌「建築文化」85/02号が残っていました。
その中に新築当時の記事が載っていました。
少し、その記事の中の文章を抜粋してみます。
・・・京都にあって連日(別の)現場に立っていた父は、倒れる4日前11月15日、
始めてこの地を訪れた。
打設の終わったばかりの1階のスラブに立って、しばらく琵琶湖の景観を眺め入っていたそうである。
そのあとつくったばかりの模型の上に、ペルシャンブルーの範囲を書き込んでいったそうである。
かつて、砂漠の中に映えるモスクのペルシャンブルーの美しさを絶賛し、自らもエッセイの中で
「すきな色」の中で最も好きな色だと言っているペルシャンブルーではあったが、
「われわれの風土ではおそらく成長しなかった」「われわれのものではない」色でもあった。
その色を父が始めて使うことに踏み切ったわけを、今となっては尋ねることは出来ない。
すでに遡って、この考えはわれわれも聞いており、
志野陶石の多治見の工房で何度となく見本焼を重ねていた。
ペルシャンブルーの鮮烈な青味は幾分抑え、
釉の艶を取り、曲面壁になじむ大きさとし、隅部は丸みを出そうということであった。・・・
この文章は、
設計を補助されていたご子息が、外壁のタイルについて書かれていた部分を抜粋したものです。
当時私は、この文章を、とても反感を持って読んでいたような記憶があります。
この場所は、当時から琵琶湖国定公園の第2種特別地域、
私のような凡人設計者なら、
茶色かベージュ、瓦か白壁のような外壁色や外部素材でないと、県の許可は下りない。
タイルとはいえブルー系の色、屋根の鉛色の鋼板、
普通ではどちらも、とても許可されそうにない色です。
巨匠だったら、何でも許されるのだなーと、当時はひがんで見ていたものです。
でも、今見ると、ぴたっと納まっていて、素直にさすがだと、改めて思い直させてくれました。
白井晟一氏が見られた、時雨の多い11月の湖北の鉛色の湖面と葉を落とした枯木の山には
もっと似つかわしく見えそうな色合いでもあります。
関連リンク&景観に関するMYブログ
◎白井晟一の芸術・デザイン(公式HP)
◎うらくんのページ>建築>滋賀の建築>びわこ湖北寮 (建物外観写真)
◎MYブログ09/04/16びわこ汽船の新船に乗って花見クルーズ
◎MYブログ07/08/28高島市景観計画への意見(私の戯言ではありますが)
◎MYブログ07/05/02景観とそれを規制する法律
◎MYブログ07/04/30今津浜・道路の景観(景観を規制する法律について)
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