杉無垢の家
自然の真ん中に、一から建築するセカンドハウス。
「シカやサルがいっぱい来ますよ。」と言ったら、「望むところです。」とお答えになったお客様のセカンドハウスの工事の始まりです。
実際、雪の積もった時に行ったら、いっぱい動物の足跡が残っていました。
雑木林のままの高低差測量し、建物が立つに似つかわしいスペースを見付けます。同時に、景色として残す樹木、伐採する樹木などを、お客様現地で相談しながら決めてゆきます。
建物の位置に当たる雑木を伐採し、建物位置にテープを張りました。伐採した丸太は、奥の方に置いてあります。
来年か再来年にはこの建物のストーブのマキとなります。究極の地産地消エネルギーです。
整地作業が完了すると、意外と高低差があることがわかります。傾斜地に合わせて建物を計画しました。
電気は何とか引けましたが、水はありません。今回は、井戸を掘る所から工事が始まりました。
井戸水は、保健所で検査することができます。雑木林の中、地下25mの水は問題ないとは思うのですが、念のため。
自然志向のオーナーの意向により、無垢材をふんだんに使用。
とりあえず「コンパクトでいい」というあたりからが、この建物の出発点となりました。 山歩き、山スキーなど、山が大好きで自然志向のTさん。 この滋賀の山も私なんかより何度も色んな季節に歩いておられるとのこと。
今回は、柱や梁も杉、床も杉、壁も杉、天井も杉、全て無垢材を使用した家となりました。
本好きの憧れ。杉の一枚板で設えたオリジナル書棚。
そのTさん、「本が多いんですよ」というのが最初の打合せからおっしゃっていた言葉。
2FはTさんの「男」の部屋になりました。本棚は、1Fにも2Fにもたくさん造り付けで備付けました。
本物の木で家を作って、というのが、ご要望でした。
1Fの外を眺める大きな窓下にも本棚。家のメインになるところなので、天板には節のないキレイな板を入れました。
1F
別荘の醍醐味である暖炉スペースは、デザインと使い勝手に配慮。
ここにしかない造作家具たちが、趣味の時間を彩ります。
大きな吹抜けに、ストーブ。セカンドハウスでよくあるご要望の一つです。
シンメトリーに窓が配置されているように見えますが、右下の窓は出入り口になっていて、外からマキを入れる搬入口になっています。
暖炉下の床タイルは、部屋が広く使えるように段差を付けないようにしています。
なかなか決められないでいた机の天板の材料が決まり、杉に決定。その杉の厚板、このように納まりました。ノートパソコンの載ってる机です。また、キッチン収納や洗面台も、造付けにしました。
実はこの建物の敷地、建築基準法に合致しているか微妙なところでした。
建築基準法
第四十二条 この章の規定において「道路」とは、・・・以上のものをいう。
第四十三条 建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。
まぁ、当たり前のように思われるかもしれませんが、なかなか、そうでない場合もあります。
お客様から土地謄本のコピーをもらい、現地を確認すると、この道、建築基準法の「道路」じゃないな、側溝もない、道幅も苦しい、「現に立ち並んでも」いない、建てるのは無理なんじゃないか・・・、というのが最初の感想。
ところがよく調べてみると、公図にもちゃんと載っている昔からの道で、この道にしか通じていない、道路位置指定が許可されていました。
当時、42条2項道路として認められていたという証左。
色んな事を調べ、役所とも折衝し、何とか、設計作業を進めるメド立つまでに、少し時間を要しました。
- 所在:
- 高島市今津町
- 敷地面積:
- 268.38㎡
- 延床面積:
- 69.69㎡
- 構造階数:
- 木造2F建て
- 設計期間:
- 2012/11~2013/04
- 施工期間:
- 2013/04~2013/08
施主様:Tさんご夫妻
大阪近郊のマンション住まいのTさんご夫妻。体が十分に動くうちに、ご主人の趣味のアウトドアを楽しみたいと、その拠点を今津に作られました。子供時代に遊びで作ったような「基地」をイメージした建物です。倉庫をご自分でセルフビルドされ、中には、カヌー・マウンテンバイク・登山用の靴・山スキー用のスキー板などがいっぱい収められていました。