まっくろくろの家
オーナー宅の第一印象は 『和のインテリアが似合う家』 。
そこから、建築イメージをスムーズに共有。
初めてSさんのひな壇型の住宅地のご自宅にお伺いした時のことは、鮮明に覚えています。
玄関まで石段と庭木がきれいにお手入れされてたアプローチ。中に入ると和の民芸調の家具やアンティークの置物などが並ぶリビングへ通されました。ほぼこの第一印象で、建物のインテリアが決まったと言ってもいいと思います。
いつもの通り訪問する前に「趣味の合う建物の写真などありましたら、ご用意下さい」と、お伝えしていました。
そこで出てきたのが、高須賀晋氏の作品が特集されていた住宅雑誌(作品集?)でした。
「この方、私も好きな有名な建築家です。」と私が言い、スムーズに奥さまの感性とマッチングしたイメージを共有することができました。
最終的に、建物の外観はシンプルな形に。
その回の打合せで、建物のプランニングする骨格はほぼ私の中で決まっていました。
コストから寸法を逆算。一番大きいガラス面を持つ1.5間(2.73m)の既製品のアルミサッシ寸法に合わせた高さの荒組子の内障子、その鴨居は軒桁兼用とします。母屋はなし。2×10材のタルキで、天井は、タルキ裏直打ちの勾配天井。3間スパン位な建物を作ろう。プランニングも決まらないうちから、この建物の具体的な断面計画の案が組みあがり始めていました。
高低差を活用し、マキノに適した設計・建築をご提案。
敷地は写真で見ると、そんなに高低差がないようですが、実際には1.2mほどありました。
正面から見ると平屋建てですが、その高低差を利用して、カーポートとロフトを作ることにしました。
室内から見た空間(写真1)。階段を上がってロフト、造付け棚の向こうに下りる階段があって、玄関、カーポートへと繋がっています。マキノのこの辺りは例年60cm~1mの雪が積もります。屋根付きのカーポートは、除雪という肉体労働を大きく軽減します。外から見ると、(写真2)のようになっています。
夫婦それぞれのライフスタイルを尊重した空間づくり。
寝室は、ご夫婦別々というか、それぞれの趣味の部屋というイメージ。
奥さまは和室がいいとのこと。畳縁はあんまり目立たずはんなりした色を選びました。
部屋巾いっぱい、天井もサッシの高さに合わせて作ってみました。
ご主人の部屋は、リビングとテイストを合わせて、ご要望で本棚をたくさん作りました。
奥さまのこだわりを詰め込んだ水回りスペース。
浴室は、セカンドハウスでもユニットバスが多いのですが、この建物はタイル張り。
これも、奥さまのこだわりでした。洗面所もユニットはダメとういことで。後は奥さまが調度を入れられてます。
キッチンは、トーヨーキッチンを採用。実を言うと、これも奥さまが探し出されたキッチンメーカー。この後、こういうキッチンが似つかわしい場合は、このメーカーをお勧めしています。お客様に教えられることも多々あります。センターフードをスッキリした納まりにするのに、少し頭をひねりました。
色鮮やかな緑を間近に感じられる、屋根付きのウッドデッキを増築。
ほぼ完成した時の写真(上:庭の写真)です。右隅のマキの山は、この建物を建てる時に伐採したもの。2,3年後にはちゃんとしたマキになります。
緑の季節になると、木々渡るさわやかな風と木漏れ日が楽しめる縁側です。
3年後には、この濡れ縁を通って、新たな屋根付きデッキも増築させて頂きました。
テーブルに二つのペンダントライトが下がり、食卓が出来ました。
お客様のご要望により手摺格子の間隔が狭いので、半分屋外のようで半分屋内のような気持の良いスペースとなりました。
- 所在:
- 高島市今津町
- 敷地面積:
- 664.69㎡
- 延床面積:
- 91.86㎡
- 構造階数:
- 木造2F(2Fロフト)
- 設計期間:
- 2008/04~2008/07
- 施工期間:
- 2008/07~2008/12
施主様:Sさんご夫妻
大阪近郊の住宅地にお住まいのSさんご夫妻。リタイヤを数年後に控え、田舎での週末生活を考えておられました。建物のデザインは、奥さまのセンスの良さがうまく反映され、素敵な別荘になりました。最近はお子さん夫妻やお孫さんも、マキノのリゾート施設利用の拠点として使っておられるそうです。