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蓋棺録、ペンキ屋H氏

61でペンキ屋が死んだ。
こんな仕事してたら、長生きはできんわ、と言っていたペンキ屋が死んだ。
若い頃から、シンナー遊びしてるわけないけど似たようなモンや、
歯ァなんかボロボロやし、肺もおかしなってると言っていた、ペンキ屋が死んだ。
ペンキ屋は、養生が仕事、掃除が仕事、ホコリが大敵、と、
塗る前の工程こそが大事だと教えてくれた、ペンキ屋が死んだ。
溶剤やエマルジョンのにおいと刷毛使いの粘りの感覚とで、
ぺンキの科学的組成を的確に私に教えてくれた、体験的化学者のようなペンキ屋が死んだ。
白木の汚れを上手いこと取る、本職の白木洗いの職人を、私に教えてくれた、
ペンキ屋が死んだ。
マスキングテープは当然するのだが、そのマスキングテープにもペンキが付かないように、
塗分けの境目を上手く刷毛捌きする、ペンキ屋が死んだ。
この田舎で、カートリッジのコーキングではなく、色粉をちゃんと混ぜ合わせて色合せをし、
へらでコーキングをする本職のシーリング屋を教えてくれた、ペンキ屋が死んだ。
冬にケータイに電話をしても通じない、「山の中へ入ってたんや。」と
冬は猟師が本業なのか、ペンキ屋が本業なのかわからなくなってしまう、ペンキ屋が死んだ。
私に、ブログやホームページで文章を残そうという思いのきっかけとなるエピソードを作ってくれた、
ペンキ屋が死んだ。(今様職人言葉辞典>オノノコマチ
設計士上がりの私に、建設業者マインドを持つようにと気を使ってくれて、
協力業者で忘年会をしようと、
その出席者名簿から会場まで段取りしてくれた、ペンキ屋が死んだ。

また一つ、電話することが不可能になってしまった、携帯番号の記録が増えた。
亡くなられた要因は、心配されていた長年溶剤系の空気を吸っていたのとは違っていたようだ。

公私共に交際が広くかったのだろう、会社組織でもないペンキ屋さんのお通夜は、
最後のお見送りをするたくさんの人であふれかえっていた。
もう、酒が飲めんようになった、と言っていたが、
常連の飲み屋があったのだろう、それとわかる女性の方も散見された。
それなりに、楽しく良い生き方をされたのだろう事が、通夜に参列してわかった。

南無阿弥陀仏 合掌
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長く仕事を続けられているということこそが品質をおろそかにしなかった証拠ではないでしょうか。

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左官屋さんのお話をお聞きしました

この前の日曜日は木考塾の例会で、左官屋さんのお話をお聞きしました。

具体的な内容はこちらから→住まいの小学校>第2回住まいの小学校(09/08/31)

090830tuti.JPG

写真は、全て滋賀県で採れる土。
昔(といっても多分昭和30年代以前)は、これらの地元の土を使って、地元の家を建てていた。
地産地消です。ただ以前は土という重さのワリに単価の安いものを運搬する
経済性不合理性からそうなったのですが。
それらの微妙な違いが、もしかしたら郷土色のようなものにもつながり
よくいわれる、「全国どこへ行っても同じ町並み・建物ばかり」
ということにならなかったのだろう、とも思いました。
今は、そのような天然の土を使って塗る職人さんとして全国で工事をされているようでした。

技術的な話はさておいて、お話を聞いていて、
その土を見る「目利き」、それは地質学者のように博学だ、と思ってしまいました。
紙の上ではなく、
目や手触り、土を塗るという筋肉の感覚(粘り・堅さ)など全ての感覚を動員した
それらの知識は深く、かつ経験的・直感的です。

時々、職人さんとお付合いをしていて驚かされることがある。
ペンキ屋さんは、においと塗る時の感覚などを通して、
そのペンキ(溶剤)の組成について、化学者のように分析してみたりする。
大工さんは、カンナで削られた木材の表面を見るだけで
その木について植物学者のように分析してみたり、
刃物の切れ味を冶金学者のように見ていたりする。
例えば、私が使っていたチェーンソーの刃をパッと見ただけでも
「きれやんでいるがな(切れ止んでいる)」
「どうして」ときくと
その刃物の先を見て微妙に青く光る感じから
「無理させたやろ、ヤキがまわってしもてるがな。」という風に。

注記)焼きが回るの「焼き」は、刃物を作る際に行う「焼き入れ」のこと。
焼き入れは、刃物を堅く鍛えて丈夫にし切れ味を良くするために必要なこと
だが、火が回り過ぎるとかえって刃がもろくなったり、切れ味が悪くなる。

それらの感覚から出て来た言葉の端々に、その洞察力に、驚かされるのである。
それらは職業的な五感を総動員した直感であり、その直感は正しいことが多いようだ。
しかし、それらは学問的に系統建てていないので、
その正当性を、他人に理屈として説明することが中々困難なようだ。
「そうなっている。何故って言われても見たら(さわったら)わかる。」
彼らにとってはそうなのだろが、私にはわかりません。
良い職人さんは、その分野において総合的な直感の博物学者だな~
と、改めて感じてしまいました。

誤解を招くといけないので最後に一言。
その日の左官屋さんのお話は講師をされるだけあって、色々上手に説明されていました。

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民家風の室内塗装

そろそろ、民宿吉平(きちべい)さんの増改築工事に目鼻がついてきました。

071102kitibei.jpg
吉平さんは、お父さんが琵琶湖の漁師さん、兼業で民宿をされたのが始まり。
今は、息子さんが主に民宿・お父さんが主に漁師と
緩やかな分業体制で経営されている、家族的な民宿です。
それぞれの季節の新鮮な琵琶湖の魚の一品をいつも楽しまさせて頂いてます。
私は、近くなので、いつも宴会に利用させて頂いてます。
よろしければ、ご利用頂ければ、と思います。

さて、そんな民宿の建物で田舎びた雰囲気を出そうと、
室内は、黒い柱、しっくい風の白い壁の民家風のイメージで行こうと考えました。
知り合いのペンキ屋さんに相談。

私 中(室内)の木を黒く塗りたいんやけど、
  いつも使ってるガードラックは、外部用やしあかん。
  ガードラックアクアっていう室内に使ってもいい水性の塗料もあるんやけど、
  前に2回塗をした現場で木目がほとんど潰れてしもて、味がないんや。
  変に光沢のある普通のステインもいややし。何かえぇのない。

ペンキ屋 それやったら、わびすけっていうのがありまっせ。
  室内用やし、光沢もない。見本帳とカタログを事務所の方へ放り込んどきますわ。

ということで、わびすけという塗料を使いました。
速乾性で施工性もいいみたい。変なつやもなく、においもほとんどありません。
民家風に仕上げる塗料としては、いい物だったなー、と自己満足しています。
設計事務所専業でやっている時は、材料の選定は、カタログやメーカーの説明だけで、
他社との比較などが中々困難な部分もあったのですが、
工事も行うようになると職人さんとの付きあいも増え、
現場の感覚や失敗談なども聞きながら、材料を選定できて、いいなと思えました。
 
関連項目
吉平さんのHPへ
ほんだ建築の実績一覧-旅館吉平増改築工事へ
(MYブログ08/01/06) コストを管理する(吉平さん工事覚書08)
(MYブログ08/01/04) なにげない手摺の形も(吉平さん工事覚書07)
(MYブログ07/12/31) 大広間和室周りのしつらえ(吉平さん工事覚書06)
(MYブログ07/12/30) 大広間の窓と障子(吉平さん工事覚書05)
(MYブログ07/12/29) 琵琶湖の魚料理の形をイメージ(吉平さん工事覚書04)
(MYブログ07/12/28) 吉平さん工事覚書03(地味な寸法の話)
(MYブログ07/12/27) 吉平さん工事覚書02(屋号)
(MYブログ07/12/24) 吉平さん工事覚書き01(法律編)
(MYブログ07/12/06) 撮影
(MYブログ07/11/29) 民家風の室内塗装
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コンクリート打ち放し

コンクリートが打ち上がったときのあの壁の表情が
塗装やタイルによっておとなしくなってしまっている。
でも打放しはダメ。
意匠性と完成品質の安定性とのジレンマ。私は打放し仕上は採用しない。
もう40代、施主さんから預かったお金で、あまり冒険はできません。 

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ある左官(しゃかん)屋さんの話

じゅらくの壁にブラケット(壁付き照明器具)は、やめてえナ。
いくらがんばってもコテムラがでてまうヤンケエ。
昔、いやな監督さんがおってナ。
学校の工事やけどナ。
夕方暗うなるとは、モルタルで仕上げた壁に、真横から懐中電灯を照らすンヤ。
そらコテムラ、ようわかるわいナ。
ぎょうさん、直さされたなあ。

 

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ある畳屋さんの話

畳屋は、縦・横・対角と寸法とるやろ。
すると、大工さんの上手下手がすぐわかるんや。
誰が上手やてか。あんたも大体はわかるやろ。
いろんなとこの下に入ってるさかい、それは言えんワ。
人の口に戸は立てられんさかい、どこをどう巡ってどないなるわからへんさかいナ。

 

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ある防水屋さんの話

瓦葺なんていうのは、防水ではありません。
いうなれば、水切り納まりの連続です。
スキ間のあるものに、雨漏りがないわけがありません。
防水っていうのは、一つの層で、ずうーっと続いていてスキ間のないものです。
ピンホールのようなスキ間でも問題になるのですから。

 

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