天窓落下事故を受けて、まだあまり事後報道がなされていませんが、
これで、樹脂系トップライトドームというものが、諸悪の根源のような報道話になり、
使えなくなくなってしまうのではないかと、危惧します。
森ビルの自動回転ドアによる死亡事故の後、
このドアは、ほとんど使われなくなったように思われます。
事故現場も、普通のスライド式の自動ドアに変更され、良かった良かった、
という話に納まっているみたいです。
スライドの自動ドアだって、大型になれば利用の仕方によっては
スキマに挟まれる危険はあるはず、
何故回転ドアだけが殺人建具のように嫌われるようになったのでしょうか。
これは、その時の一方的な報道が原因のような気がしてなりません。
この回転ドアが森ビルという最先端の建築技術を集めた建物で採用された理由は、
開閉頻度の多い大空間の出入口冷暖房のエネルギーロスを
最小限にとどめるために考えられたものです。
冬の寒いヨーロッパ・アメリカ北部でこの形式が発達した理由もそこにあります。
冬の冷気の進入を防いでくれる開閉形式なのです。
特に吹抜の大空間などがある場合、上下の空気の温度差の関係から、
ドアを開けると思わぬ強い風を受ける経験をされた方は、何人もおられると思います。
強い風はあるということはそれだけ冷暖房のエネルギーをロスしているということです。
エネルギー消費の少ないビルを設計するために考えられたこのドアは、
報道のあとほとんど採用されていないと思われます。
こういうドアを必要とする施設は、商業施設や余程大きな事務所ビルしかありません。
報道で殺人建具のイメージを植えつけられたものを、商業施設のオーナーが
いくら省エネ効率が高いと言っても採用されることにはならないからでしょう。
学校の防煙シャッターで死亡事故が起きたときにも、色々な報道がなされました。
この場合は、シャッター下部にセンサーを付け、安全性が高まるような製品となりました。
回転ドアも防煙シャッターと同じように、安全性を高めるというような、
建設的な方向で物事が進めばよかったのに、と今は思います。
多分両者の違いは、先端技術でほぼ初めて採用されたものと、
既に全国至る所でその製品があったものとの違いによるようなきがします。
話が変わって、学校の耐震補強の問題。近頃良く報道されます。
私は、耐震補強することは良いことだと思っています。
しかしなぜ学校ばかり取り上げられるのか?ということに疑問を感じます。
まだ、40%も耐震補強がなされていない校舎があるだとか、
耐震診断もされていないものが数%あるだとか。
まず物事の前提として、このような技術や診断方法はいつからなされたか。
これは、阪神淡路大震災以後です。それまでは、大多数の建築技術者は、
震災にあって多少でも壊れた鉄筋コンクリートの建物は建て替えるしかない、
と考えていた、と思います。
ところが、都市にあのような地震が起こり、
そんなことばかりいっていたら大きなビルをどれもこれも建て替えなければならなくなる。
そこで、耐震補強という方法が実務的にものすごいスピードで研究が進んだ。
そしてそれが、被災はしていなくても古い基準の建物にも応用された。
広まったのは高々、10年前後の技術です。
その方法で、全国津々浦々の学校のうち60%も工事がなされたというのは、
文部科学省の補助もあり、良く進んだ方だ、と思ってしまうのです。
補助のない市庁舎などは、それが本当の防災拠点かもしれないのに、
そのような割合には、到底届いていないハズ。
災害時にちゃんとしなければならないということでいえば、
例えば新聞社やマスコミのビルで、支局含めた全ての建物で統計を取ったらどうなるだろう。
昭和56年以前の耐震診断をしなければならないビルのどれだけを診断しているだろう。
民間のテナントビルで耐震補強工事がなされているものは、一桁の%だと思う。
そういうことを思うと、なぜ学校だけ、こうも取り上げられてしまうのだろう、
と、疑問に思ってしまうのです。
それは、つい先日の四川の地震のせいの様に私には思われます。
しかし、局地的ではありますが、先日の岩手の地震で、
四川の学校のように床が抜けて建物が瓦礫の山となるような崩壊形式の建物があったでしょうか。
いくら山間地とはいえ、いくつかの鉄筋コンクリートの建物はあったはず。
日本では、中国のあのような崩壊形式はありえないのです。
それなのに、地震が起こるとすぐに学校だけが危険なように
喧伝してしまうのはいかがなものかと思われるのです。
耐震偽装やその影響による昨年の建築基準法改正についても、
その報道にしっくりしない部分が多々あります。
どうも、マスコミの記事は、建築技術ということに深く理解がないために
極端から極端へ傾いてしまっているような気がしてなりません。
ニュースはニュースでいいのですが、事後報道・解説報道などは
その辺りもちゃんとふまえた上で報道がなされるべきだと思います。
逆な方向からいえば、私から見ればちょっと危険じゃないか、と思われるような
建物や建物の部分があるものを、カッコイイ新築の建物として紹介されたりもしています。
建築に関わる報道は、どうもバランスを欠いているものが多いような気がしてなりません。
一級建築士は全国で30万人、いくらでも報道する前のバックデータとして
話を聞こうと思えば聞ける人がいるようなきがするのですが。
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かつ、住宅建築は個人ができる、大きくて身近な地域振興でもあります。
ハウスメーカーの建物。数億円の豪邸も建売住宅も同じようなサッシや外壁って何だか
変じゃありませんか。とりあえずそこを選択肢から外して、家作りを考えてみませんか。