雪と体育館の耐震改修
京都新聞の電子版(07/06/09)に下記のような記事が出ていました。
京都34・0%、滋賀29.6% 公立小中校舎の耐震基準以下
・・・滋賀県教委のまとめによると、1981年以前に建てられた県内の小中学校の校舎や体育館
のうち、現行の耐震基準を満たしていないのは420棟だった。全体の29・6%で、1年前の調査より5・1ポイント改善した。市町別では耐震化率100%は安土町と愛荘町、最も低いのは西浅井町で
30・8%だった。
耐震診断が行われたのは全体の91・1%と1年前の調査から18・7ポイントと大幅改善した。一方、虎姫町の25%など依然として低い自治体もあった。
県教委は「各自治体とも厳しい予算状況だが、特に小中学校は広域避難指定場所であるところが
多く、診断率、耐震化とも100パーセントになるよう強く指導していく」としている。
構造屋さんのぼやきが聞こえてきそうな記事です。
特に体育館。
平屋建ての大スパンの建物では積雪荷重が構造設計に大きく影響します。
滋賀県は、1986年豪雪により体育館が県内で数棟倒壊したことを受け、
鉄骨大スパンの建築物について、積雪に対する基準を強化しました。
一つは、積雪荷重を1~2割程度上げること(ちなみの弊社の地域では150cm→175cm)
もう一つは、それまで、雪下ろしによる積雪荷重の低減を認めていたのを、
大スパンの建物(体育館や大きい倉庫工場のような建物)や公共建築物については認めない、
という強化策です。
1986年以前の体育館は、構造設計の前提となる荷重が大きく変わってしまっているのです。
積雪量の低減を使った設計なら
耐震診断の前提となる荷重が設計時に比べて1.5倍以上になっても不思議ではありません。
そんな、建物に耐震補強の施しようはないのではないかと思います。
今後、湖西・湖北地方の古い体育館は、
現行の耐震診断に従えばほぼ全て立て替えなければならないのではないかと思います。
しかし、この時期、そんなスクラップ&ビルトが必要なのでしょうか。
現況の屋根の形や仕上の材料による、雪のスベリ具合などを適切に評価し、
安全性を確認する手段があればいいのにと思います。
積雪時の体育館などを見ていると、新品鋼板の滑りやすい屋根だと、
ほとんど雪は積もっていないのが現状のように思われます。
そこに過大な積雪荷重を見込む必要があるのでしょうか。
本体の老朽化がさほどでもなければ、
屋根葺き材の改修と雪止めの撤去で実質上は十分なように思われるのですが・・・。
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